Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

金星と声質⑨(金星:魚座)

《金星:魚座

真島昌利

金星:魚座7度
海王星蠍座13度〈逆行〉
   木星水瓶座23度
ASC・1室:時刻なしのため不明

動画はソロアルバム発売当時、1989年27才の頃。金星の支配星はどちらも固定宮にあり、また火星・水星も固定宮(水瓶座)で、話し方が今も昔も全然変わらない。穏やかで本当に優しい声。インタビュアーは渋谷陽一さんで、ほぼずっとちくちくいじわるなのだけど(笑)、常に優しくかつ正直に返していて当時若いのにすごい。合気道的なテクニックとしていなすのともちょっと違う、受け容れて文脈をやわらかく広げるところは魚座っぽい。

魚座の金星は高揚の座。魚座の支配星である海王星蠍座にあり、ホロスコープ全体がシーソー型で、この海王星はシングルトンの位置に。金星の状態がとても良く、海王星もとても強く、これらは120度。かなりロマンチストな配置。松村潔先生曰く金星と海王星のコンタクトは、クラッシックの演奏家に多いらしい。クラッシック以外の音楽家でも、その情感が聞き手にすっと入ってくるような、その情景に現実の景色ごと浸してしまうような、そんな人に多い。冥王星の180度もあり、やわらかさと合わせて激烈さもある。

あと魚座金星の特徴として、はにかんだような恥ずかしそうな表情。ホロスコープから読める見ためについては色々な説があるが、個人的に思うのは、全体的な見ため・雰囲気はASC、眼の光は太陽、表情は金星だと思う。それぞれ、その支配星も合わせて。

Ewan McGregor

金星:魚座3度
海王星:射手座2度〈逆行〉
   木星:射手座6度〈逆行〉
ASC:天秤座15度
1室:(3度前)天王星11度〈逆行〉
→金星:魚座3度

金星はASCの支配星で、自己表現を表し金星にとってジョイである5室にあり、水星と60度。支配星の木星は本来の座の射手座にあり、同じく支配星の海王星と0度。俳優さんだけれど、歌が本当に良い。しかも歌が好きで楽しそうに歌っているのがまたいい。映画の中でも度々歌っているし、アーティストのクリップで出演した曲をまるまる本人が実演している映像も。Blur“Tender”を歌っている映像もあり、個人的に原曲はピンと来てなかったのだけれど、この人が歌うとすごい名曲だと思ってしまった。

金星は支配星の木星海王星と90度。パフォーマンスを表す火星は山羊座にあり、これも高揚の座で土星120度、太陽・天王星90度。スイッチが入ったように堂々とした歌いっぷり。個人的には若い時にジョニー・ロットンの伝記映画とか演じてほしかった気も。ジョニー・ロットンの金星も魚座だったりするし、他にも重なるところがいくつかあり、面白い。


Billie Holiday

金星:魚座7度
海王星:蟹座27度〈逆行〉
   木星魚座15度
ASC:水瓶座3度
1室:天王星15度、ドラゴンヘッド24度
天王星水瓶座15度
    土星:双子座27度

伝説的なジャズ歌手。神話ほど痛ましい生涯も度々映画化されている。昔、おそらく特に日本で「晩年のビリー・ホリデイの歌が分からなければ、歌手になるのはやめなさい」という変に権威的な言葉を度々見かけた。むしろ、そんな上からの言いまわしとは対極にある歌。いわゆる分かりやすい「きれいな」美声の全く逆、音域の広さ・声量の豊かさを見せつけるでもなく、技術をひけらかすのでもない、ただただ自分の歌を追求した歌。土の星座が山羊座の月(欠損)のみで、そういった音域・声量・技術など「物」的なすごさからかけ離れて、ただただ聞く人に寄り添う。この世の悲しみの手を取り、ゆらゆら揺れて全て許す歌だと思う。

魚座には金星以外にも、水星・火星・木星がありステリウム。1つめの話している動画は晩年(といっても43才頃)で、薬物や疲労による声枯れもかなり進んでいるが、歌と同様にたゆたうようなリズムがある。また、同じく魚座金星の特徴である、眠そう・ぼんやりした・独り言のようなぼそぼそとしたトーンも伝わってくる。Fishmans佐藤伸治は金星こそ山羊座だが、同じく魚座ステリウム(水星・火星・土星)で、音に溶け入っては浮かぶ、ひたひたと漂うような発声は近いものがあるように思う。



Serge Gainsbourg

金星:魚座19度
海王星:獅子座26度〈逆行〉
   木星牡羊座15度
ASC:魚座23度
1室:天王星牡羊座15度、太陽13度、木星16度
海王星:獅子座26度〈逆行〉
   木星牡羊座15度

過激で物議をかもした作品群と、鋭い目つきの怖そうなイメージが強いけれど、話すところを見ると優しく穏やかな語り口(少し飲んでいるのかもしれないが)。ジェーン・バーキンインタビューでも、子どもにも優しく楽しませるのが上手だったこと、バーキンの親もゲンズブールと再婚したことで娘が明るくなって喜んだこと、などが語られている。ブリジット・バルドーが親切な人だったことも知れてうれしい。

だいたい昨今のニュースを見ていても、普段から良い人・立派な人に見られようというアピールが常に強い人の方が余程怖いと思う。笑 周りの人にちゃんと愛情深く接していたら自然とにじみ出るものだし、わざわざ自分から主張しないといけないというのは、よっぽどなのだろう。いわゆる反逆児的な人・パンクな人が「自分がどう思われようと、作品として面白ければ」という姿勢は、もちろんフザけもあるだろうけど、自分と同じ芸ごとを愛する人たちを楽しませようというサービス精神だと思う。それが出来ない人が自分はいくら頑張ったとか、こういう高尚なことを考えてるとか、聞かれてもいないことを言い出すのだろう。

私が最初にこの人を見たのは、バルドーと歌う「ボニー&クライド」のビデオだった。中学生の頃、一回り上の女性からバルドーのクリップ集のようなものをもらった。完璧な美貌のバルドーの後ろに、いわゆる美男子でもなく目線も全く合わせない、やや挙動不審気味のゲンズブールがいて、その存在感の濃さはバルドー以上でひときわ目を引いたのだった。

魚座の金星は水星と重なっていて、歌い上げるような上手さはないけれど、いい声ときれいなメロディーで何だか聴けてしまう。感じたものをそのまま書ける詩作の才と、それに合った声とも読める。この金星・水星のは0度は、土星90度・冥王星120度。土星は余分を削ぎ落し、冥王星は根源と同調する。魚座の支配星はどちらも火の星座にあり、繊細ながら筆致は潔い。ひっきりなしの煙草と飲酒はコンプレックスと照れを隠すためだったのだろう。一度に色々なことを考えてそうな落ち着きのなさは、乙女座の月的な神経質さかもしれないが、火星座が強い人らしく次の「いたずら」を考えていそうなお茶目さにも見える。



いやー「金星と声シリーズ」書き終わりました。次からは8室の天体の話に戻ります。

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