Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

土星+ステリウムのハウス、放棄のすすめ ②/2

前回からの続き。ここからは土星+ステリウムのハウスの対策、4つ。

①ハウスの意味を自分自身で捉え直すこと
例に出した6室は、無意識的だと職場環境で出やすいのですが、他にも色々な意味があり、例えば鍛錬・修行・精進・技術・技能・調整・健康などがあります。これら発揮する方向として、職場環境は特定の場所ですが、鍛錬等は特に現実の場所は限定していません。この6室のエネルギーを必ずしも「職場」のみに、しかも外から「使われ」なくてはいけない、とは限らないのです。意識的に目標・落しどころを定めて、ステリウムの極端に大きなエネルギーをそちらへ流すこともできるということです。6室が重ければ、「自分を磨くことが得意」ともいえます。

6室=職場というのは、現代の一般的な捉え方の1つです。つまり、こうなりやすい(と思われる)ということなので、そうなるかもしれないけど、そうならないかもしれない、というものです。どうやらそうなることが比較的多いらしい=無意識(的認識)=一般的な考えなので、これだけを「絶対」と思うと、それはそれで思い込みになります。

「そうなりやすい、らしい」という、このぼやっとした曖昧さが曖昧だからこそ、長いこと居座りやすかったりもします。具体的にどこかの怪我・何かの病気と分かるなら、それに合った治療法で対処できるように、はっきり認識できるならその対応ができるからです。そうではない、例えばいわゆる「霊障」的なものなら、霊障と分かるまでにも時間がかかります。

なので、この「思い込み」とは、実はある種、憑かれている状態に似ているともいえます。悪霊、つまりその人に取り付いて蝕んでいくものです。そして、それについて特に理性では考えられず、ただ、こわい・不安のままで留まり続ける、というところも同じです。いわゆる「世間体」「一般論」が人を疲れ(憑かれ)させることはあっても、それで人が救われることは、あまりないように思うのです。それら「一般的な考え」云々に、特に理由はなく、元を正せばただ「何となく」だったりします。思い込みは、実は「意志」や「ちゃんとした情報」では出来ていなくて、素材はただ「何となく」なので、ちゃんと疑ってみると、案外とても脆いものでもあります。

例えば、占星術の太陽は意識・自我、月は無意識・一般(大衆)という意味があります。月は太陽のエネルギーを吸収して、弱く光っていて、月自体から発する輝きはありません。太陽と月は、地球からは同じぐらいの大きさに見えますが、実際は太陽が月の約400倍も大きい。これを本当の生命力と悪霊(思い込み)の差と捉えてもいいかもしれません。無意識だからこそ、大きな動かないもののように居座っていますが、近いから(誰でも言いがちな、よくある考えだから)単に大きく見えているだけかもしれません。無意識/一般的と思われるものから、無自覚であったことを自覚すると、実はそれらはごく小さなもの・とても脆いものであったことに気付きます。この曖昧さの原材料は、どこまで行ってもただ「何となく」だからです。先に書いた「こうなりやすい」だけで出生図を読むということは、この月(無意識・一般)的な目線でのみの解釈になり、その狭く閉じた「ありがち」というテリトリーに縛られたままの世界観になってしまいます。

西洋占星術には各々の要素(天体・サイン・ハウス・アスペクト等々)に、色々な意味があるから分かりにくい、とも思えますが、逆に言うと、意識的になればそこから自分の好きな意味を選び取れる、ということでもあります。自分に合った意味を選ぶには、一度「一般的なこと」を疑い、意識的・自覚的になる。意識的・自覚的ということを、すごく単純にいうと例えば「自分には絶対無理!」「誰が何といおうと嫌!」ということ。「やってられるか!」でもいいと思います🌞そう思った時は、必ずそこに「自分(意識)」が居るはずです。それが、大方はどうであれ自分個人にとっての大切なものとそうでないものとの境目、切り取り線になるはずです。

②ハウスではなくサインの意味に寄せること
前回に挙げた例でいうと、ハウスの6室が「割り振られた場所」、サインの天秤座が「元々の素質」です。単に「割り振られた」だけの6室的なことより、「素質」である天秤座的なことの方がずっと上手くいきやすい、ということです。なので、例えばお勤めの場所を天秤座的な場所(社交・アドバイス・交渉・ファッション・デザイン・編集・人より楽な仕事・華のある仕事など)にする。素質なのでやり方が自ずと分かり、楽な上に長所として認められやすいはずです。天秤座ステリウムの人は、例えば相手が特殊な人でも引かずに対応できる、というところはあると思います。活動宮なので長期戦はしんどいですが・・・

③ハウスシステムをソーラーサイン、もしくは太陽=ASCのシステムで考えること
ハウスシステムをよく使われるプレシーダスでのASC始まりではなく、ソーラーサインや太陽=ASC(Astro GoldだとSun on 1st)に合わせて見てみましょう。ステリウムの場所が移動し、その移動したハウスの分野が本来追求したいこと・深い充実感を感じること・難しくてもできること・落ち着いて対応できるところ、になります。こちらのハウスシステムで捉えてみた方が、しっくり来る方も多いかもしれません。試しに、その移動したあとのハウスシステムで占星術の教科書の「ハウス」の項目を読んでみて下さい。(↓良書なのですが、絶版のようで早くも値段が釣り上がっていますね。。大きい本屋さんならまだ定価であるかも!)

土星の元々の意味、「減らす」を追求する
土星はそもそも「減らす」天体です。例えば、お金・感性を表す金星に、この土星アスペクトがあると、ケチ・古風などと読みます。元々そういう意味を持っている土星なので、例えば土星のあるハウスの事柄を必要最低限まで削ぎ落してみる。また「古風」ということも、つまり一昔前の時代ぐらいまでのものがあれば(それで当時生活できていたのだし)十分と捉える、ということでもあります。そのハウスが一般的に表すことの意味から、自分にとって要らないものは放棄する。これは、土星のあるハウスに対して、「贅沢・過度なことを期待しない」ともいえますが、「要らないものを手放せる」ともいえます。シンプルに出来る場所ともいえるでしょう。

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よく、精神的な病気は一般的な人より真面目な人がなりやすい、と言われます。土星は真面目さ・厳格さの意味もあります。もしかしたら、その方は土星のあるハウスの分野をかなりベタ(一般的)に捉えていて、しかもそれを過度に真面目に・深刻に捉え過ぎているのかもしれません。

以前ラジオの「テレフォン人生相談」で、いわゆる自傷/自己破壊/反社的行為を繰り返し、そのことを延々語る相談者に対して、回答者が言った「あなたは本当に真面目な人なんだね」という一言に、とてもはっとさせられました。「絵に描いたような」個性的ふうな不幸は、やはりベタに囚われています。視野が狭くなり過ぎているとは、視界にありがち・なりがちしか入る隙がない、ということでもあります。目の前にも、周りにも、反社の中にもないような、もっとニッチでもいいし、アテがなくてもいいので、自分にとっての「意味」を個人で選んで貫くこと。そこにこそ、心底納得できる・受容できる何かがあるはずです。そこには分かりやすい、いわゆる「個性的」「反社」な仲間はいないかもしれませんが、多分もっとずっと大切な人がいます。

放棄するとはつまり、(無自覚的にも)他者にも放棄したそれを求めなくなる、ということでもあります。望まずに割り振られた(ステリウムの)無理難題を他者にも求める・・・と、もう色々ごたごたしてくると思います。ので、あまりにも重いハウスは放棄するか、解釈を一般的つまり無意識的にそうなりやすいイメージから、意識的に自分の目的・素質に寄せて変えていく。むしろそこから、自身の持つ大きな力を引き出せて、しかもそれは、他の人には出来ない、圧倒的な何かである可能性が高いのです。色んな方々のチャートを見て、私はこれを気休めではなく、事実だと思っています。ステリウム組の人たち、応援してます📣✨