Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

8室について⑫ -天体ごと❺木星

木星幸運・恩恵・遺産・発展・成長・拡大・増大・寛容・善意・大らかさ・冗長さ・過剰さなどを表す。

火星・木星土星は社会天体といわれるが、個人的にはこの社会天体は親から受け継いだ・生まれた家庭で培われた部分、だと思う。家庭で促された・認められた・育成された・躾けられた部分なので、その人が社会に出た時に効力があるところ。いい効力かどうか、またそれがどのくらいかは、天体の状態にもよるけれど、基本的には社会領域でも発揮される部分。中でも木星はやはり、その人の「恵まれた部分」「それによって社会的に得するところ」として、分かりやすく出やすい。「過剰に持っているところ」でもあり、特に8室はブーストされるので、意識的に外に出した方が発展しやすいといえる。

8室は誰と付き合うか、の部屋でもある。そこでの恩恵・引き立て運・社会運ということで、玉の輿運やパートナーが有名・著名な人という形で出ることも。伝説的なロックスターであるカート・コバーンの妻だったコートニー・ラブもここに木星が。莫大な遺産が入ったが、それが薬物の資金になっている面も。キャロル・キングは、70年代を代表するSSWだが、キャリアの最初は夫ジュリー・ゴフィンとの作曲チームだった。アラニス・モリセット出世作「You Oughta Know」は、無名時代に付き合っていた当時すでに有名な俳優デイブ・クーリエ(『フルハウス』でのお父さんの親友役)との関係を歌った曲だった。

イタリアの女優モニカ・ヴィッティは、同じイタリアの映画監督ミケランジェロ・アントニオーニの公私に渡るパートナーだったが、プロポーズは断った。アントニオーニは世界三大映画祭で最高賞を受賞した、イタリアを代表する世界的な映画監督。モニカ・ヴィッティの場合、8室には月と天王星もある。月は以前に書いた通りで、天王星は「投げ出す」という意味がある。また8室木星の意味として、単純に配偶者・パートナーの回数が多いことも。前回書いたアレサ・フランクリンの他にも、エリザベス・テイラークリント・イーストウッドビョーク、レナード・バースタイン(同性愛を公にしていた)、マルタ・アルゲリッチイングリッド・バーグマン、シニード・オコナー、アストル・ピアソラなど。

近親者が有名、また高名な弟子・二代目であることも。子どもの時に兄弟らとデビューしたマイケル・ジャクソン、その妹のジャネット・ジャクソンは、どちらも8室に木星がある。ボードレールは、前にも書いたが莫大な遺産を引き継ぎながら散財した。8室ステリウムだが、天王星海王星がこれらと90度。エゴン・シーレは、グスタフ・クリムトに弟子入りし、若くで逝去しながらも影響を昇華し独自の画風を切り開いた。8室木星がある人は、ごく近しい・親しい人と何か仕事するのは吉、またその機会がやって来やすいといえるかも。組織に入る・師匠につくことも大きなプラスになる。

8室は関係性を表し、そこに木星があるということは、付き合う人・近しい人に対して寛大ということ。相手のこと、感情・人柄・持ち物にいたるまで、そのままごろっと受け容れられる。木星の恩恵はそこからやって来るといえる。