Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

8室について⑯ -天体ごと❾冥王星

冥王星破壊・再生・死・復活・遺伝・限界・臨界点・極限・極端・根源的・カリスマ性・影響力などを表す。冥王星占星術で使う基本の10天体の中で、1番外側を運行し1番強大な力を持つ。土星の壁を破る(天王星)・溶かす(海王星)よりも、もっと根底から破壊して再生させ、元あったものを別の何かへ作り変えてしまう。圧縮・増幅の8室に冥王星があると、こういった意味が凝縮され、爆発力・破壊力がより強まる。

前回も書いた通り、外惑星の影響は分かりづらいといわれる。が、ここまで8室にある10天体をそれぞれ見ていって、結果的にこの冥王星が1番分かりやすかった。ひとまず、8室冥王星の人たちを挙げてみる。

【俳優】
チャップリン(+海王星
マーロン・ブランド
クリント・イーストウッド(+金星、木星
エリザベス・テイラー(+木星
デニス・ホッパー
ブリジッド・バルドー(+火星)
ブルース・リー
シルヴェスター・スタローン(+水性、金星、火星)
イザベル・ユペール
モニカ・ベルッチ(+太陽、水星、天王星

【ポップス・ロック系の歌手/ミュージシャン】
エルヴィス・プレスリー
ボブ・ディラン
ジミ・ヘンドリックス
ボブ・マーリー
ライ・クーダー
パティ・スミス(+土星
ロバート・プラント(+金星、天王星
トム・ウェイツ
ロバート・スミス(+天王星
アリーヤ
ダミア(+月、海王星
エディット・ピアフ(+土星
パティ・ペイジ

【ジャズ奏者/歌手】
チャールズ・ミンガス
サラ・ヴォーン

【映画監督】
黒澤明(+火星)
アンドレイ・タルコフスキー
北野武(+土星

【画家】
レオナルド・ダ・ヴィンチ(+天王星
マネ

【作家/著述家】
オスカー・ワイルド
ショーペンハウアー
ボードレール(+太陽、水星、金星、火星、木星土星

【クラシック演奏家/歌手/指揮者】
ルフレッド・コルトー(+月)
マリア・カラス
レナード・バーンスタイン(+木星
【作曲家】
プロコフィエフ(+太陽、水星、火星、海王星
フランツ・リスト

【政府関係者】
ヒットラー(+海王星
ダイアナ元妃(+火星、天王星

【科学者】
ニュートン
ガリレオ(+太陽、水星、金星)

【占術・オカルト系】
クリス・ブレナン
ノストラダムス

この8室シリーズの最初の方でも書いたが、年代がかなり古い人、また英語圏以外はなかなか出生時間が判明してないことが多い。また、出生時間含めて豊富に掲載されているastro.comでも、同じ英語圏でもイギリスよりアメリカ人の方がかなり多いように思う。政府関係なども知名度の点では下がるので、よほど有名でないとデータがない。基本的には現代のエンタメ系の人が中心である。そのため、ハウスが判明している人には偏りがある。

だが、それでもざっと見てみて、圧倒的にカリスマ性のある人、後世への影響力が大きい人ばかりだと思う。上に挙げた著名人らをある程度知っていたら分かるかと思うが、まさに時代を変えて、忘れられない印象を残した人たちである。そして一般的な受けの広さよりも、作品や活動自体が深く刺さる人が多い。

冥王星は破壊と再生(再構築)の天体であり、その天体の意味通り、それぞれの分野のセオリー・慣例を壊して、自分独自のスタイルを確立させてしまった人ばかり。その分インパクトがあり、影響力が大きいため、彼らを尊敬する人、またそこまででなくても(スタイルが確立されている分)アイコンとして、話題の中で引き合いに出されることが多い人たちでもある。

例えば「毒にも薬にもならない」という言い方があるが、冥王星はその逆の意味そのもの。つまり毒にも薬にもなり得る。偉人たちのように、その「破壊と再生」の力でもって、新しい道を切り開くなど未来へ向けた使い方が出来ないと、今ある権力に固執しそれを振りかざす暴君となってしまうことも。先に書いた通り、冥王星は1番強いエネルギーを持つ天体なので、その強いエネルギーを持った人が安きに流れると、あっという間に権力と支配欲に結び付いてしまう。そうなってしまうとなかなか是正されない、是正されるまでに多くの犠牲を払うことにも。

また冥王星は強大なエネルギー・破壊力を持つため、諸刃の剣であったり、ミイラ取りがミイラになるなど、扱いが難しい。例えば前回の海王星の場合、壁/境界をいつの間にか溶かすから、視界が悪くなるから、という理由でコントロールしづらい。冥王星の場合は、それ自体が甚大なエネルギーを持ち、極限まで、破壊するまで、もう元には戻れないところまでへと、行き切ってしまう。それ自体の扱いが危険と隣り合わせで、だからこそ毒にも薬にもなり得てしまう。その強大な力で何かしらを壊せてしまうので、壊してしまう・作り変えてしまう場所を間違えてはいけない。

8室冥王星、もしくは冥王星が強く効いた人にとって、何かを壊してしまうことは、簡単なことなのかもしれない。そして、その矛先が時に自分自身になってしまうこともあるかもしれない。8室は圧縮と増幅の部屋、つまり圧縮など変容を遂げるために、普段は堅く閉ざされた部屋なのだから。危なくなりそうな時は、8室とは反対の2室、つまり自分の生来の素質・身体が自然に感じる感覚など、よく思い出すといいかもしれない。また、松村潔先生が冥王星牡羊座の支配星という説を唱えていらっしゃるが、それで考えると、牡羊座の反対は天秤座で、支配星は金星である。それらが象徴する平和・調和・バランス・洗練することなども、冥王星の持つ変容の作用と同じくらい、忘れてはいけない、諦めてはいけないことのように思う。