火星逆行時期
①1982.2.21-5.11
天秤座19度-1度
②1984.4.6-6.19
蠍座28度-11度
③1986.6.10-8.12
山羊座23度-11度
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①1982.2.21-5.12
天秤座19度-1度
●過去を取り戻しに行く
●ずるずる引き延ばしていたこと・もやもやしていたことに向き合う
→引き延ばしていることに注目する、そこにヒントがある
●普段だとしないことをする
●普段だと出会わない人と出会う
●運命のいたずら・縁
1982年初頭、ギタリストのジョニー・マーはシンガーを探していた。前のバンドが解散してからギターで作曲を続け、それがかなり溜まっていた。周囲から情報を集めて、友人のバンドメイトだったスティーヴン・モリッシーなる人物が候補に挙がる。が、どうやって会えばいいのか分からなかった。そんな折、あとにマネジャーとなるジョー・モスの家へ、録画してもらったビデオを観に行く。ジョー・モスは当時、マーのバイト先である服屋のオーナーであり、マーより20才上だったが、ギターの生徒でもあった。
ビデオは、ジェリー・リーバーとマイク・ストーラーのドキュメンタリー。ドリフターズ、ベン・E・キング、エルヴィス・プレスリー、シャングリラスなどを手掛けたこの作曲チームに、当時のマーは取り憑かれていた。ジェリー・リーバーは、マイク・ストーラーと出会う前、マイクが曲を書けるやつだという噂を聞き、住所を突き止め、玄関をノックしたという。マーはこれだ！と思った。それから知人をつたって、件のモリッシーの住所を手に入れた。二人は4年前にパティ・スミスのライブで一度会ってもいた。そして、その伏線が回収される日が来た。
「それは本当に良く晴れた日だった」。1982年5月、ジョニー・マーはモリッシー宅のドアをノックした。5月の日付までは分からないが、この頃が火星の逆行が終わる間際か、逆行明けぐらいにあたる。逆行期間中にマーはシンガーを探すことに集中し、モリッシーを知り、出会うヒント（よく知らないけどとにかく突撃するという）を発見し、知り合いづたいにたどって、ついに居場所を突き止めたのだった。
時を同じくして、モリッシーの方はただただ引き籠っていた。職業安定所に名前を登録だけして、家から一歩も出ない日々を数年過ごしていた。そうなる以前、何とかバンドのメンバー募集に応募し、そのライブで手応えを感じたりもした。けれど、間もなくそのギタリストだったビリー・ダフィーが、すでにテレビ出演が決まっているバンドに引き抜かれてしまった。
再び何も持たないやつとなった私に、ビリーは置き土産をくれた。彼はジョニー・マーという男の名前を告げたのだ。同じくウィゼンショーに住んでいて、ビリーよりずっとうまいギタリストだという。その提案は思いやり深いものだった。しかし私は、知らない人の家の窓を叩くタイプの人間ではなかった。幸運なことにジョニー・マーは、誰かの家の「窓を叩くタイプの人間」だった。ビリーはジョニーの顔を、私の歩んでいる道側に向けてくれたのだ。
―モリッシー『自伝』
つまりモリッシーの側は、数年前にすでに「将来のパートナー」の名前を知っていながら、ただただ家で待っていたことになる。笑
「火星逆行の例① - はじめに」で書いたように、経過図で逆行している火星が、出生図と強くアスペクトを取る方が動くことになる。この時の火星は、天秤座19度から1度を逆行していた。ジョニー・マーの火星は射手座4度、月が牡羊座にあり、木星も同じく牡羊座で11度。水瓶座17度に土星もある。月の位置は不明だが、逆行の火星を中心に180度と調停が2つ出来ている。さらにN火星にはT天王星が乗っている。対するモリッシーは、太陽こそ双子座だが、他に火・風のサインは獅子座の天王星のみ。金星火星が蟹座にあり、これと90度にはなる。が、元々対面の山羊座に土星があったりもする。なので、マーの方が元々アクティブだし、より動きやすい時期だったと思う。
またモリッシーの太陽は、出生図でのメジャーアスペクトは冥王星90度と木星180度（サイン違い、蠍座の木星での180度）。120度・60度のない、風1・火1なので、確かに生きづらそうな出生図ではある。それがこの時、逆行火星が天秤座1度まで進んで行き、N太陽とT火星が120度になった頃にマーと出会った。逆行の火星が、孤独なモリッシーのＮ太陽に近づいていくように、ジョニー・マーが手探りで歩み寄って、ついに見つけてくれた。ちょっと感動的な配置に見える。
またモリッシーの金星はOOB（アウト・オブ・バンズ、赤緯）で危険度数で、この金星は際立って五感が鋭く、かなり尖った美的感覚を持つ。この時期、この金星にドラゴンヘッドが重なっていた。また、マーは出生図でこの位置にドラゴンヘッドがある。ドラゴンヘッドは成功・縁を表し、生まれ持った鋭敏な感性（OOB・危険度数の金星）に引き付けられた縁という図になる。
それと、この2人は蠍座マター。ジョニー・マーは太陽・水星・金星・海王星・リリスが蠍座。モリッシーは月・木星・海王星が蠍座。1982年のこの時、木星は蠍座にあった。この木星も、火星逆行の3日後に逆行が始まっている。その8時間前に、木星の本来の座である魚座で新月なのも面白い。
出会いが何ともこの2人らしくて、面白いので長くなってしまった。何かと注意すべき時のようにいわれる火星逆行だが、大きな可能性を秘めてるとも思う。ザ・スミスは活動期間こそ短かったが、この80年代の「作曲チーム」は、ひたすら音楽を作り続けて、この時代を代表するバンドの1つになった。もし経過の火星逆行が、出生図の「大切な場所」を通過するなら、しゃにむに動いてみるのもいいかもしれない。回収する必要があるぐらい、大切な伏線が過去に転がっているかもしれないから。つじつまは、天体が順行してからで、何とでもなる気がする。
ごく初期に演奏していた、'50年代のガールズ・グループ、The Cookies ”I Want A Boy For My Birthday”のカバー。ジョニー・マーの部屋で録ったデモ。
