Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

11月のハームキヤ(花巻市)へ⑥

花巻駅から「花巻温泉」方面のバスに乗って、「釜淵の滝入口」で降りる。その1つ前が「花巻温泉」で、にぎやかな温泉街が見えた。そのあとが「釜淵の滝入口」でそこで降りるが、周りに特に何にもない急な坂道の途中。

iPhoneの地図では、ここから釜淵の滝へは、大きくUターンする道が表示され、徒歩20分とある。本当?バス停向かいには廃病院があり、ちょっとこわい。しばらくうろたえたが、少し下った左によく見たら「釜淵の滝入口」と書かれた小さな木の標識が出ていた。そこから入って谷川の方へ、ゆるく降りていく階段が敷き詰められている。谷川には「月見橋」と名付けられた小さな橋が架かっていた。

所々「熊注意」の看板があり、南部鉄器の熊除けのベルもあった。さっきの廃病院といい、何やかんや怖がらせにきてる。絶景を見るには勇気も必要なのだと悟った。

川は黄金色になっている。

すすきはみんな白い火のようにゆれて光りました。
 ―宮沢賢治鹿踊りのはじまり

一般に「枯れすすき」とも言われるすすきを、賢治は「火」「銀いろ」「波」「湖の水脈」等々に例えていて少し不思議だった。けれど、ここのすすきはその言葉通りだった。

葉っぱが光っている。

ここの主、釜淵の滝。

錆に似る木、木に似る橋。お互い寄っていってる。

ずっと居れるぐらい、きれいな場所だった。花巻温泉に近いので、その辺りに泊まると朝の散歩でここまで来れる。空気がきれいというよりも、なぜかやさしいという印象の方が強い。そこにいる時はそれがごく自然なのだけど、よく考えたらなぜだったんだろう。

今回の旅で1度だけタクシーを使って、「南部杜氏伝承館」へ。14時近くだったけど、レストランに人が多く、少し待ってようやくお昼。エビとカニが入ったラーメン。東京の濃いのより地方のやさしい味の方が好き。

伝承館を見て、地酒の試飲、お土産など。昨日の記念館をゆっくり見れなかったし、他の美術館も合わせて行こうかとも思った。けれど、どこも閉館16-17時ぐらいで、交通も少ないので断念。ここの敷地内に図書館があるが、この日は定休日でそれも残念。あとは花巻駅近くで何となく時間を過ごす。諸々考えると、次回は夕方に新幹線で帰った方が良さそうだと思った。2日間ずっと快晴だったのに、帰る時になって雨が降り出した。手を振ってくれてるみたいに見えたし、そう思っておこうと思う。

このラーメンで、旅の写真は終わりです。お付き合い、ありがとうございました。東京に帰ってから、知らなかった良さげな場所をいくつも知ったので、またすぐにでも行きたいぐらい。きれいな景色を見れて、その中に居れて、よく晴れた日が撮れて本当に楽しかった。ずっと、ほのぼのと見守られている感覚があったこともうれしい。生まれ故郷でさえ、殺伐としたよそ者感とか村八分感があって、たいがいどこも居心地悪いのに、そんな人にも何ともやさしい場所でした。あの場所からあの作品が生まれて、その言葉は今もこの土地で生きている、ことが知れた旅になりました。