Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

8室について④ -チャートの例➊/4 -はじめに

このあとの話の整理のため、基本的な話も少し。占星術でいうハウスは、現実世界での場所を表す。
・天体:エネルギー
・サイン(星座):カラー(傾向)
アスペクト:エネルギー(天体)の連携
内的なこれらの要素が、では現実世界のどんな場面・場所で出てくるか、というのがハウス。

■8室とはどこ?
・近しい人といる時の感情、ひいては関係性
・選び取った対象(人・もの・こと)との向き合い方
・対象といる時に生じた諸々、それらが蓄積され、圧縮されている場所
・感じたけれど、言わずにしまっておいたこと

●「感じる」「観察する」「沈黙する」、隠された場所
8室は「関係性」の場所だけれど、3・7・11室(言葉・出会い・友人、等)のような双方向の対話・議論などが活発に行き交う場所ではない。それらに比べると、同じく人と一緒にいる時でも「感じる」「観察する」「沈黙する」場所となる。仲が良くなると沈黙でも気にならなくなるが、それは信頼関係ができたからでもある。8室は「信頼」、ひいては信頼していいかどうかも含めた「見抜くこと」に関係する。

●生じる感情がそのまま関係性になる
また、その人が近しい人といる時の感情と、その人の持つ人間関係は、殆どイコールであるように思う。例えばここに土星がある人は、関係性や感情表現に責任感を感じているので、感情を抑制し時に気難しくノリが悪いが、向き合うと決めたら真面目で付き合いが長く続く。天王星がある人は独特の感情表現でユニークで刺激的だけれど、情緒が独立的でさっぱりしているので、急に人との縁が切れたりする。

つまり、人間関係を変えたければ、自分が人といる時の感情を意識的に変えてみるといいように思う。頭でどうこう考えるより、8室(関係性)は言葉ではなく情緒を表すのだから、付け焼刃の情報より、その方がよほど効果があるように思う。自分でそういう「気持ち」を作れずに、他者にばかりそれを要求すると多分「関係」は壊れてしまう。逆にいうと気持ちが作れないのなら、無理をしなくていいのかもしれない。

8室に天体が多い人が人気者になりやすいのも、そこに天体のある分、感情表現が多彩で、また色々なタイプの人を受け入れやすいからだろう。それと、関係性自体に意識的であり、強い影響力を持っている。

■どうなる/どうするところ?
変容、影響、圧縮、支配、堰き止める、融合、密閉、秘密

食べ物に例えると、発酵・熟成・燻製・塩漬け・天日干し・・・など、ある状況に一定期間置かれて、違う風味・栄養素のものになる。素材をそのまま放っておくと、腐ってしまうけれど、そうではない時間の経過(圧縮など)をさせることで、別のものに変容させることができる。

●変容とは
食べ物はすでに死んでしまっているものだけれど、8室は本当に死んでしまうのではなく変容させる。ただ、それは字義通りでも精神的な意味でも「死ぬかと思った」体験、つまり今までの自分のままではいられなくなり、それまでの限界を超えることになる。変容は、変容が完了するまでにそこから出てしまっては、達成できない。だから、そこで行き止まりとなり、閉じ込められ、自分自身でそのことを秘密にし、外の空気を遮断し、外からその経過は見えなくなる。対象が人ではない場合も含めて、1対1の関係は、得てしてそういう面があると思う。そうやって、一個人では超えられなかった限界を超えさせてしまう。その期間にあった全てを言葉にすること、第三者に理解されることは不可能だ。ここで感じたこと全てが、変容したあとの姿へとつながる。その意味で「関係性」は、毒にも薬にもなり得る。

そういう理由で、私は最初に書いた「8室は自分にないもの」ではないと思う。隠れて見えない、すぐには表れてこない、時間のかかるもの全てを「ない」と捉えるのは危ない。「見えないから、ない」では、短絡的に思う。それでは、それこそ8室が強い人にいつか出し抜かれてしまうようにも思うのだ。

次回は、8室が強い人の特徴を書きます。