Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

8室について⑬ -天体ごと❻土星

土星課題・困難・制限・削減・責任・冷却・安定・固定・規則・秩序・体系などを表す。よく、その人の自己の中にある「老人」「年長者」のイメージといわれる。

8室は誰かといる時の感情でもあるので、ここに土星がある人は感情表現に硬さ・ぎこちなさ・緊張感・厳しさ・冷静さがある。単純にノリが悪い印象を持たれることも。裏を返せば安定感があるので、落ち着いた印象を与えることも多い。そんなふうにして、土星は結果的にバリケードを築くので、場の空気・いわゆる「長いもの」になじみにくく、巻き込まれにくいかもしれない。

歌手などでも、8室土星の人は聞き手を柔らかく沁み込むような、しっとりとした情緒的な表現にはなりにくい。「安定」ということは揺らぎにくいので、どちらかというと情緒的には淡々とした、もしくは堂々とした感じ。エディット・ピアフ(+冥王星)、シンディ・ローパー(+海王星)、キャロル・キング(+木星天王星)、パティ・スミス(+冥王星)など。エディット・ピアフパティ・スミスは、8室に冥王星もあり、声の表現として極限まで行き切ったパフォーマンスが印象的。

「誰かといる時の感情」ということは、表情にもつながる。カメラを向けられた時の表情もそうで、8室に太陽・金星・木星辺りがあると、言われなくてもにっこりするが、8室土星は無表情か、もしくはさらに土星が強いと、しかめっ面で写っていることも。

心理学者のフロイト、1940年代~のフランス女優シモーヌ・シニョレ、同じくフランスの女優であるジャンヌ・モロー、厳しい指導でも知られた指揮者のセルジュ・チェリビダッケ、ピアニストのマルタ・アルゲリッチ、画家のダリ、フリーダ・カーロ、詩人のボードレールランボー、ミュージシャンのキース・リチャード、ジミー・ペイジなど、写真のイメージがコワもての人が多い。特にフロイトチェリビダッケジャンヌ・モロー辺りはいかにもという感じで、ポートレートではカメラに微笑みかけるどころか、ただでさえ鋭い眼光で睨みつけている。意固地通り越して凄んでいて、ここまでくるとむしろ愛らしくさえある。

ダリやシンディ・ローパーなどは格好が派手で、存在感自体はポップだが、見せる表情はほとんど真顔である。ダリなんか写真はほぼどれも真顔の金太郎飴。ローリング・ストーンズレッド・ツェッペリンといった、ロック・クラッシックの代表格のギタリスト2人ともが8室土星なのは面白い。若い頃の写真を見るとその表情は硬く、感情を抑制してるか、どこかに落っことしたかのよう。ボーカルがギラギラし過ぎてるので、これぐらい自分を抑えているギタリストの方が、バランスが良いのかもしれない。土星の特徴として「年を取るにつれ包容力が増す」ので、彼らも年を取ってからの写真は笑顔などやわらかい表情が多い。チェリビダッケアルゲリッチもそうである。

ただし表情ということで、金星が水の星座にあるなど、他の個人天体の状態によっては、8室土星の意味は和らぐ。ユアン・マクレガーは8室に牡牛座の土星があるが、金星は魚座木星海王星との90度。また他の個人天体も牡羊座の太陽・水星が射手座の木星海王星と120度、月が双子座だったり。職業が俳優ということもあるかもしれないが、硬い印象はない。

また先に書いたように、土星は「年長者」のイメージで、それが8室で圧縮・増幅されるので、父・先生的存在になることも。「交響曲の父」といわれるハイドン、「精神分析学の創始者フロイト、「近代詩の父」ボードレール、「アイルランド演劇運動の牽引者」イェイツなど。占星術界隈でも、後続を多く育てられた占星術研究家の松村潔先生も8室に土星がある。8室土星は感情的に落ち着いていて、人との関係性において冷静であり、「継承」(8室)ということに真面目(土星)に取り組むので、実際に指導者に向くのだろう。また土星は具体化・物質化の意味もあり、それが8室で圧縮・増幅されるということで、アイデアを具体化する役目にも向いている。