Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

天体の時間的作用 ②/6 縁


「時間的作用 その2」の前に、縁と相性について書きます。今回は縁。

まず基本的なこととして、天体の意味の、このあとの話に関する部分をざっくりと。縁と相性における「表現・作用」の早い順に。

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  ↑早い

●コミュニケーションでの実行部隊
(=公転周期順での中間層)
水星:喋り方・考え方
金星:受け・他人といる時の感情・愛嬌
火星:攻め・パフォーマンス・対外的

●内面性
:個人的な感情・内輪的
太陽:生き方

●社会性
木星:このことに関して甘い
土星:このことに関して厳しい

  ↓遅い

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■ 縁・相性に必要なもの
縁(A):不確実でも速さ、殻を割る衝撃、強さ、気付かせる
相性(B):遅くても確実さ、中身への浸食、やわらかさ、詰んでいく

縁(A):
「縁」は、すなわちお互いの殻を破る必要があるので、ある程度の衝撃を与えるために速さが必要になります。天体でいうと、対外的に動く天体に「比較的」それができます。比較的「速い」、つまり対外的にリアルタイムでやり取りできるということ。それが「実行部隊」の天体(水星・金星・火星)です。これらが現実に対処していく・矢面に立つ天体であり、自分自身と現在との接点になります。指揮命令官(太陽・月・ASC、他強い天体など)により、方向性は変わりますが、実際にことに当たる・手先となるのはこれらです。

●コミュニケーションでの実行部隊
(=公転周期順での中間層)
水星:喋り方・考え方
金星:受け・他人といる時の感情・愛嬌
火星:攻め・パフォーマンス・対外的


■ 縁における、天体の使い方:

・水星:
会話/コミュニケーション能力、知識/情報の多さ、頭の良さ
・金星:
愛嬌、優しさ、サービス精神、センス
・火星:
行動力、思い切り、浮いても平気などメンタル/押しの強さ

①状態のいい天体
ご自身のこれらの天体の中で、強い・状態のいい天体(本来の座・高揚の座・ソフトアスペクトが多い・木星/金星とのアスペクト)がまずは使いやすい・受け入れられやすい・発揮していて自然なはずです。

特に火星などは半ば個人天体、半ば社会天体なので、いくらか気持ちから切り離して使える天体です。火星がフォーカスするのは、個人的な情緒ではなく、目的となる対象だからです。

②相手の個人天体とアスペクト
③相手のミッドポイントにヒット
天体の状態が悪くても、その天体が相手の個人天体とアスペクトを取っている・相手のミッドポイントにあるなら、多少拙くても積極的に発揮した方がいいでしょう。状態が良ければ何も躊躇することはありません。

いわゆる、弱い・状態の良くない天体(転落の座・障害の座・ハードアスペクトが多い・土星以遠とのアスペクト)でも、その特性を認識して、意識的に使うのであれば、他にない個性として、とても印象に残るアクションができるはずです。縁/きっかけにはインパクトが大事ですし、占星術家たるもの宿命を逆手にとってこそ、だと思うので、占星術を勉強されている方には、ご自身の天体をぜひ戦略的に使ってほしいなと思います。

主なミッドポイント
太陽/月:精神安定、相手によって自分を許せる・受け容れられる
太陽/金星:新鮮で飽きない魅力、相手がいると機嫌が良くなる
太陽/ドラゴンヘッド身内感、家族・兄弟姉妹のよう
月/金星:母性愛、可愛いと感じるもの
金星/火星:性的な魅力、異性として意識する
金星/木星楽しい、平和、はしゃぐ、和む

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■補足: 

❝対外的❞といっても、❝対社会❞への働きかけだと、どうしてもタイムラグが出てきます。「社会」の中にはよく知らない・見たことない人たちも含まれていて、その社会的な正しさのために書類だの契約だの、対象以外へのプロセスが増えていきますね。ここでいう「対外的にリアルタイムでのやり取り」とはつまりダイレクトであることなので、この❝対外的❞の範囲としては、対1人~顔がちゃんと見えるぐらいの身近な距離まで。いわゆる「打てば(目の前で)響く(のが見える)」(ことが物理的には可能であろうという)射程圏内ということ。

この射程圏内は、パーソナルスペースでいうと、密接~社会距離の途中ぐらいまで。前の記事でも書いたように、ここでいう「距離を詰める」とは、公転周期の遅い側から早い側へ駒を進めること。まずはこの身体的な近さである射程圏内に入って、何かアクションをして(火星・水星・金星)それが相手の感情(金星・月)に触れる。つまり❝対個体・密接距離内❞というバッターボックスに入らないと、相手の心を打つことはできません。実行部隊の天体群(火星・水星・金星)より、情感や精神を表す天体群(金星・太陽・月)がより内側にあるからです。

「周りがどうこう」というのは社会天体なので、その場所に軸足を置いていたら声は届かないということ。その階層で溺れてしまうと、初動に迷いが生じるので、その迷いの元となるルール(と思っている)の部分(社会天体=木星土星)について考えて答えを出しておくといいでしょう。木星が守りたいと思うもの・土星が要求するものについて、どうやったらそれができるか、目の前の状況でもいつも通りそのルールを執行した方がいいのかどうか、など。自分の価値観(社会天体)と照らし合わせて考えがすっきりしたら、動きやすくなるはずです。

まとめると、実行部隊の天体は、射程距離は短いが、ダイレクトでインパクトがある。実行部隊の天体を使うことによって、上手く決まれば、一撃で大きな変化を起こせる、ということになります。