Astro Japonica

楽しい 占星術ノート

8室について⑧ -天体ごと❶太陽・月

8室にある天体ごとに、見てみる。また、それぞれに該当する人たちも例に挙げる。

【太陽】
太陽は目的意識である。8室的な事柄(過去記事)自体が人生のテーマになる。関係性において常に意識的で、その中で主体的に動く。周りに惑わされない、独自の観察力を持つ。1つの集団がこの人を中心に回る。周りへの影響力が強いか、周りに安易に流されない。行き過ぎると、支配欲が暴走し、主導権を握ることに固執する人も。関係性・性的・秘密・陰謀などのキーワードが生涯のテーマ・ライフワーク・代名詞になりやすい。太陽は創造性なので、人との関係性の中で作品を生み出す共同作業か、補佐的・アドバイザー的な役割自体が職業になりやすい。

ミッシー・エリオットフィル・スペクター、またプリンスなどもプロデュース手腕に長け、そのスタイルによって一ジャンルを築き、牽引した存在であった。プリンスはきわどいぐらいセクシャルな存在であり、その活動の中で多くのミュージシャンを従えていた。フィル・スペクターは、音楽史に大きな功績を残しながら、ジョン・レノンラモーンズとのセッション中に、意見が食い違うと銃で脅す、当時の妻であるロニー・スペクター(ザ・ロネッツ)を軟禁するなど猟奇的な行動も目立っていた。後年には若い女優を殺害し、獄中死した。支配欲が行き過ぎた例かと思う。

ウィキリークス創始者ジュリアン・アサンジは、その内部告発の活動によって、おそらくでっちあげの別の事件の容疑をかけられ、身柄を拘束された。世界各地を転々とし、連絡先も頻繁に変えるなど、スパイ小説のような生活を送っていた。まさに二重にも三重にも「秘密」「密告」の人生を送っている。

現代美術家のソフィ・カルは、インタビュー形式や定点観測的な設定等を用いたドキュメンタリーの手法で、死・別れ・喪失の感情や、実在の人々の「関係性」をテーマとした作品を制作している。

他に作曲家のハイドン、歌手のジェリー・リー・ルイス、リトル・リチャード、心理学者のアルフレッド・アドラー、俳優のジョン・トラボルタなど。

【月】
月は上に書いたことが苦手である。人に振り回されやすく、他者に対して膨大なエネルギーを浪費してしまう。逆にいうと、太陽の自我(エゴ)で動いてないので、損得と関係なく人のために動ける人でもある。見せ方が上手くないので、一見もしくは公的には冷たそうに見えるが、実は近しい周囲の人への気遣いは過剰だったりする。なのに、月なので、それがプラスにならないことが多い。また、影響を受ける側になりやすいので、パートナーや家族など近しい関係者の方が目立つ・優位な立場になりやすく、その相手に振り回され、トラブルに巻き込まれることも。相手の感情に同調しやすいため、ネガティブな感情にも染まりやすく、関係性の流れを自分からは変えにくい。

月は、それがどのハウスにあるかに関わらず、その人の「冷えた場所」だと思う。冷え症の患部のようなもの。だからこそ、相性で月を温めてくれる天体を持っている人といると、ほっとする。典型的なのは、自分の月に相手の太陽・木星が重なるなど。「患部」なので、月単体で何か解決・創造・成就する力は望めない。冷えているからこそ、過剰に動いてしまうように思う。なかなか熱(エネルギー)が生じず、どこまでやってもやり切った感覚が持てないことも。関係性において「この人むずかしいな」と思ったら、自分で何とかしよう、この人を助けようと思わず、できるだけ離れることも大切だと思う。そのやり方がきれいとか、かっこいいとかにならなくてもいい。そもそも苦手なのだから。苦手なのだと認められたら、とても楽になるように思う。

シンガーソングライターのエイミー・ワインハウスは、その短いキャリアの殆どを元夫と実父に振り回され続けた。ハード系のドラッグを夫の影響で覚え、リハビリ施設への入退院など繰り返し、警察沙汰もあって、パパラッチに追い回された。グラミー賞5部門受賞したが、アメリカ入国のビザがおりず、衛星中継で出演。また、離婚した父親がマネージャーを買って出て、疲労困憊して嫌がる彼女に無理矢理ツアーの予定を入れ、パパラッチに今いる場所をバラしたりもした。その無理に出演させられた最後のライブが酷評されたことにショックを受け、急性アルコール中毒で亡くなったとの見方もある。「奔放な強い女」のイメージがあったが、実は周囲の人にはとても気を遣う人であったらしい。自身がファンであったトニー・ベネットとのデュエットのクリップで、レディー・ガガとは対照的に、こわばった表情で控えめにほほ笑む姿に、そのことが垣間見えるように思う。

心理学者のフロイトは、婚約者に900通もの手紙を書き、晩年の第一次世界大戦後の困窮のさなかであっても、患者や弟子たちに手紙の返信を続けていたという。また8室には土星もあり、リビドー論など、性と心理の関係について提唱した。1886年の時点で「男性のヒステリーについて」という論文を発表している。

作曲家のシューマンは、ピアノ教師の娘であったクララとの恋愛を、その父から猛反対され、会うことや手紙も禁止された。その妨害や攻撃は次第にエスカレートし、訴訟しなくてはならないまでになった。また評論家としても活躍し、同世代や後輩にあたる作曲家たちを愛情を込めて激賞するなどの饒舌さもあったが、自身は内向的で、国外で指揮者を務めた際、自閉癖が強まっていたこともあり、終始オーケストラに明確な指示ができず団員たちを困惑させ、以降指揮の機会はなくなった。8室太陽の場合とちがい、8室月の牽引・統率が上手くいかなかった例だと思う。シューマンの人生は、苦手なことを頑張り過ぎたように思う。後半生は精神疾患や他の病状にも悩まれた。

俳優のリバー・フェニックスは、両親がヒッピーでカルト教団の宣教師だった。生まれた時から教団への参加を余儀なくされたため、壮絶な幼少期を送った。生涯に渡って両親という近しい人からの「影響」に苦しめられ、23才でオーバードーズで亡くなった。

で書いたように、女優のモニカ・ヴィッティは、映画監督のミケランジェロ・アントニオーニと公私ともにパートナーであったが、結婚はしなかった。シャンソン歌手のジュリエット・グレコも、ジャズ・トランペット奏者のマイルス・デイヴィスと、1950年代に人種や国境を超えて交際を始めたが、時代背景もあって「成就」はしなかった。マイルスとグレコついてはここに詳しく書いてあって、気持ちは生涯続いたよう。


他に、映画監督のゴダール、作曲家のドヴォルザーク、指揮者のセルジュ・チェリビダッケ、ロシアのプーチン大統領、ギタリストのジミー・ペイジ(高校時代よりオカルティストであるアレイスター・クロウリーのファンで、クロウリーの屋敷を購入していたことも)、歌手のジョニー・キャッシュ、女優のジュリエット・ビノシュなど。

長くなってしまったので、次回以降に他の天体を。年始は帰省しますので、そのあとになるかと思います🎍みなさま、良いお年を。2023年も渋谷トリンをよろしくお願いいたします。